令和3年度 JA熊本県女性大会

フレッシュミズの作文発表

家族・フレッシュミズの幸せの輪  西 ちひろ

「ただいま」、「おかえり」と私と夫が毎日交わす言葉です。

私は母子家庭で育ち、小さいころはカギっ子でした。自分でカギを開けてひとりで「ただいま、おかえり」と言って母と弟の帰りを待っていました。しかし、結婚した今は違います。私には温かい家族ができました。家には毎日誰かがいて、子供達が「ただいま」と帰ってくれば「おかえり」と待っていてあげられます。こんな風に子供を見守りながら育てられる環境は、農家のとてもいいところだと思います。

私の住む玉名市横島町は、米をはじめイチゴ、丸トマト、ミニトマト、ナスなどの施設園芸が盛んで、我が家はイチゴ41アールと米125アールを栽培しています。20歳の時、会社員だった私は夫と出会い結婚、同時に退職して同居がスタートしました。嫁いだ当時は8人家族。結婚当初は「大変でしょ?」と言われることが多かったのですが、当時は夫が好きというだけで結婚し、深く考えていませんでした。唯一、大変だった事といえば農業について何も分からなかった事で、イチゴの摘み方、セロハン貼りなど一つ一つを夫や義母に教えてもらいました。

次男が保育園に入園してから、私の本格的なハウスデビューとなりました。JAたまなフレッシュミズデビューは、同じ保育園のクラスのママから「フレッシュミズに入らん?楽しいよ!トマトケチャップ美味しいよ!」と誘ってもらったのがきっかけでした。友達が欲しいのもあり、すぐにでも加入したかったのですが、子供が小さい事もあり迷っていました。すると、「子供も連れて一緒に来るといいよ!」それを聞いて喜んで加入しました。さっそくフレッシュミズの集まりに参加すると、同年代の子供達がたくさんいて、子供同士は楽しそうに遊び、私は活動しながら農業・育児といろんな情報交換ができて、私も子供もとても充実した時間を過ごしました。

そして、今はイチゴの栽培・家事・子供の事で多忙な毎日を送っています。ある日、この生活に疲れてフレッシュミズの先輩ママ達に弱音を漏らした事があります。すると、返ってきた言葉は「忙しいのも今のうち、子供の事でバタバタできるなんて今だけよ。子供が高校卒業したら寂しくなるよ!」と…はっとしました。そうだ…子育てはあっという間。数年経てば子供達は私達の手を離れて家を出て行ってしまうのだと思うと、今は精一杯子供に関わろうと思いました。現在、我が家は食べ盛りの高校1年と中学2年の息子2人を含め、6人家族です。食材の買い出しは数日分まとめて買うので、必ず夫と2人で行きます。移動中の車の中は、子供の事、仕事の事、さらには夫からの晩御飯のメニューの提案など、2人だけで話す事が出来る貴重な夫婦の時間です。息子達はイチゴの最盛期には、夜中までパック詰めをしていると、セロハン貼りや出荷用の箱作りなど手伝ってくれて助かっています。

気付けばフレッシュミズ在籍も10年を越え、部長・支部長を経て、現在JAたまなフレッシュミズの会長をさせて頂いています。本年度はコロナの影響があり、活動するのが難しい状況でした。そんな中。感染対策として少人数で班を作り、ケチャップ作りや梨を使った焼肉のたれを作りました。規格外のトマト、梨を生産者の方から頂き、にんにく、玉ねぎなども会員自家製のもので作っています。安全・安心でとても美味しいトマトケチャップと焼肉のたれが出来上がりました。

部長をさせて頂いた時、「横島らしい事が出来る事は何だろう?」と考えました。思いつかずに会員に尋ねると、小さい子供がいる会員から「イチゴ狩りがしたい!」と要望が出ました。「それならうちでできるたい!」と、早速5月の収穫終了時の開催を企画し、会員を通じて声かけしたところ、子供を連れてたくさんの参加があり、空き箱やかごを片手に、思う存分ちぎってもらいました。もちろん食べ放題!自分で採って食べるイチゴは格別みたいで、着ている洋服をイチゴで真っ赤に染めてニコニコ食べてくれ、私まで嬉しくなりました。子供達に食育を学んでもらえる場であり、何より喜んでもらえるという事で、これからも続けていきたいです。

さらに、JAたまなフレッシュミズ横島支部では、毎年2月の終わりに町を挙げて行われる一大イベントのイチゴマラソン大会に参加しています。ここ2年はコロナの影響で中止が続いていますが、この日ばかりは県内外から町民の人数を越す6千人以上のランナーのエントリーがあり、たくさんの人達で賑わいます。ランナーには、給水所に水と一緒に横島特産のイチゴやミニトマトが振舞われ、食べながら横島を満喫してもらいます。ゴールの広場には、地元の皆さんによる様々な特産品の出品があり、私達もかわいくラッピングしたイチゴチョコや揚げパンをお客さんとふれあいながら楽しく販売する事ができました。またこんな風にみんなの笑顔が見れて、私も元気をもらえる日が来たらいいなと思います。

会長になり、いろんな会議に参加する機会が増え、様々な方々と出会い、たくさんの刺激を受けます。県の会議では作物の栽培方法や工夫している事、栽培している農作物を使った料理レシピ紹介など、勉強になる事がたくさんあります。フレッシュミズ活動でも参考にさせてもらい、今後へ活かしていきたいです。

今回、この機会を通じて私は幸せだなと改めて感じました。子供達が何事にも頑張って取り組む姿を見るのも幸せ、イチゴを美味しいと食べてもらえるのも幸せ、フレミズのみんなと笑顔で活動できるのも幸せ、これからも出会えた人達に「ありがとう」と感謝をして、日々成長していけたらと思います。フレッシュミズもコロナに負けず、会員が少しでも増えるよう幸せの輪を繋げていきたいです。

「フレッシュのみんなありがとう」